欧州連合(EU)の欧州委員会は9日、中国政府による不当な補助金で中国製の耐食鋼材がEU市場に安く輸出されているとして、暫定的に最大28.5%の反ダンピング関税を課すと発表した。欧州鉄鋼協会(EUROFER)の申し立てを受けて行った調査の結果、中国からの輸入拡大によって域内のメーカーが深刻な打撃を受けており、対抗措置を講じる必要があると判断した。
9日付のEU官報によると、反ダンピング関税が適用されるのは河北鋼鉄集団、首都鋼鉄集団、江蘇沙鋼集団などの大手メーカーがEU向けに輸出している耐食鋼材で、税率は17.2%~28.5%。対象企業は欧州委の決定に対して25日以内に異議を申し立てることができる。
米投資銀行のジェフリーズ・グループによると、今年に入ってEU市場に輸入された中国製の耐食鋼材は前年同期比45%増となり、輸入量に占める中国製品の割合は51%に達した。欧州委は安価な中国製品の輸入拡大により、少なくともEU15カ国に拠点を置く鉄鋼メーカーが損害を受けたと指摘。8カ月にわたる調査を通じ、「反ダンピング関税を適用することで業界全体として採算が取れる水準まで耐食鋼材の価格水準を引き上げ、域内産業を回復させることができるとの暫定的な結論に達した」と説明している。
中国商務省は10日、欧州委の決定を受けて声明を発表。EUは依然として不公正で不当な「代替国(surrogate country)」制度を用いて反ダンピング関税の算定を行い、中国企業の利益を損なっていると反論している。