東芝は24日、独家電販売大手メディア・ザトゥーン・ホールディングが同社の欧州子会社を英国高等法院に提訴したと発表した。メディア・ザトゥーンは東芝が関与したブラウン管カルテルで損害を受けたとして損害賠償の支払いを求めている。東芝は訴訟内容を精査した上で、適切に対応するとしている。
EUの欧州委員会は2012年、東芝とパナソニック、韓国のサムスンSDI、LGエレクトロニクス、台湾の中華映管、オランダのフィリップス、仏テクニカラー(旧トムソン)の7社が1996年から2006年にかけて、テレビやコンピューター用モニターのブラウン管の販売で価格カルテルを結んでいたほか、市場・顧客の分け合い、生産調整を行っていたとして、中華映管を除く6社に総額14億7,051万ユーロの制裁金支払いを命令した。
東芝の制裁額は単体で2,804万ユーロ。さらに当時はパナソニックとの合弁会社だった松下東芝映像ディスプレイ(MTPD、現パナソニック子会社)もカルテルに関与したと認定されたため、連帯責任で8,673万ユーロの制裁を科された。
東芝は同決定を不服として提訴した結果、EU司法裁判所の一般裁判所は15年、単体で科した制裁を無効とする判決を下した。連帯責任の制裁については算定に問題があったとして8,282万ユーロに減額されたものの、東芝はなお不服として上訴し、今年1月の判決で訴えが退けられた。
メディア・ザトゥーンは東芝に対する制裁が確定したことを受けて、今回の訴訟を起こした。メディア・ザトゥーンの主張は、カルテルで価格が不当に吊り上げられたブラウン管の搭載製品を購入したことで損害を被ったというもの。03年1月から06年12月までの期間に推定9,143万ユーロ(約118億円)の被害を受けたとして、東芝エレクトロニクス・ヨーロッパ社、東芝情報システム英国社、東芝システム欧州社および東芝グループ外の被告1社が連帯して責任を負うことを要求している。