独郵便・物流大手のドイツポストDHLグループは10月2日、電気駆動の配送車を開発・生産する子会社のストリート・スクーターが2018年第2四半期に第2工場で生産を開始すると発表した。ストリート・スクーターの本社および第1工場のあるアーヘン近郊のデューレンにある米自動車部品メーカーNeapcoの敷地内(約7万8,000平方メートル)で生産を開始する。生産能力は最大年1万台、従業員数は最大250人を予定している。
アーヘンとデューレンの2工場を合わせると、生産能力は最大で年2万台に拡大する。生産体制を2交代や3交代制にすれば、生産能力をさらに引き上げることができる。
ストリート・スクーターは、ラインアップも強化する。最高速度が時速約85キロメートル、航続距離80キロメートルの現行モデルに加え、最高速度が時速120キロメートル、航続距離で200キロメートルのモデルを市場投入する計画。また、今後2年間で、同社のモデル「ワークL」(積載容量:8立法センチメートル)に燃料電池を搭載したモデルを数百台試験投入する計画も発表した。当該モデルの航続距離は500キロメートルを超えるため、投入分野や顧客の幅が広がると見込んでいる。
■ベーカリー向けの電気自動車を開発
ストリート・スクーターはドイツポストDHLに電動配送車を供給するほか、外部向けにも車両を開発・販売している。例えば、製パン事業者と共同で、ベーカリーやその他の事業者向けに3.5トンの電気自動車「ベーカーリー・ビークル・ワン(BV1)」を共同で開発した。
手工業分野の約200社が、事業に適した手頃な価格の電気自動車が市場で見つからないため、ニーズを満たす電気自動車の入札を共同で実施したところ、ストリート・スクーターが落札した。
BV1は、10種類のバリエーションがあり、車載充電池は2種類を用意した。シャーシは、ストリート・スクーターと提携先のTZBファールツォイクバウが共同で生産する。販売価格は4万2,950ユーロからとなっており、すでに100件を超える予約注文が入っている。
ストリート・スクーターによると、エネルギー会社、廃棄物利処理事業者、自治体、空港、ファシリティマネジメント(施設管理)会社、ケータリング会社などにも電気自動車の需要があるという。