「労働時間の自己決定権」を金属労組が要求へ

自動車・電機産業の被用者が加盟する金属労組IGメタルの執行部は10日、11月に始まる次期労使交渉で、労働時間を一定期間短縮する権利を認めるよう雇用者団体ゲザムトメタルに要求する方針を固めた。ワークライフバランスを重視する就労者が増加していることを踏まえたもの。今後は執行部方針を各支部で検討したうえで、24日に正式採用する予定だ。

IGメタルのイェルク・ホーフマン委員長は、「雇用者はこれまで、労働時間を延長するためにあらゆる可能性を利用してきた」と指摘したうえで、「被用者はこれと同様に、労働時間を短縮する可能性を持たなければならない」と強調した。会社が求める労働時間に被用者が適応するという従来の「労働時間の柔軟化」に対し、被用者各人のニーズに労働時間を適合させるという逆の意味での「柔軟化」を対置した格好で、「労働時間における自己決定権(Selbstbestimmung in der Arbeitszeit)」と表現している。

具体的には週労働時間を35時間(西部地区。東部地区は38時間)から28時間へと引き下げる権利を最大2年間にわたって認めるよう要求する方針だ。14歳未満の子供を持つ組合員と家族の介護を行う組合員が週労働時間を3.5時間以上、短縮する場合や、シフト勤務など負担の大きい労働時間モデルで働く組合員が労働時間を年に計5日以上、短縮する場合については、収入減少分を企業が一定程度、補うことを要求していく。

賃金については6%の引き上げ要求を打ち出した。6%の内訳はインフレの相殺が2ポイント、生産性の向上が1.5ポイント、業界の好景気で得た利益の配分が2.5ポイントとなっている。ベースアップした賃金の有効期間については発効後1年とすることを要求している。

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