独乗用車販売見通し引き上げ ディーゼル車の8月新車登録は21%減に

独自動車工業会(VDA)は4日、今年の国内乗用車新車販売予測を上方修正した。国内外のメーカーが打ち出した旧型ディーゼル車下取りキャンペーンの効果で新規受注が伸びているためで、前年比横ばいの335万台にとどまるとしていた従来予測を同4%増の350万台へと引き上げた。

ドイツでは窒素酸化物(NOx)の排出量が多いディーゼル車の走行禁止が現実味を帯びていることから、メーカー各社は回避策の一環として旧型ディーゼル車を下取りに出して新車を購入する顧客に大幅な割引を行うキャンペーンを8月に開始した。これを利用して新車を注文する消費者が多いことから、VDAは今年の販売予測を引き上げた。

ドイツ連邦陸運局(KBA)が5日発表した統計によると、1-9月の乗用車新車登録台数は261万1,821台で、前年同期を2.2%上回った。

9月は前年同月比3.3%減の28万8,035台。比較対象の昨年9月に比べ営業日数が1日少なかったことが響いた。

電気自動車(EV)の9月の新車登録台数は前年同月比36.9%増の2,247台だった。これまでに引き続き補助金が追い風となり大きく増えたものの、増加幅は従来の3ケタ台から大幅に縮小した。

ハイブリッド車(HV)は76.4%増の8,674台で、補助金の対象となるプラグインハイブリッド車(PHV)は119.6%増の3,118台だった。

ガソリン車は8.7%増加し、シェアが前年同月の53.1%から59.7%へと拡大。ディーゼル車は都市部での走行規制懸念を受けて21.3%減少した。シェアは44.6%から36.3%へと大きく落ち込んだ。

新車の走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は前年同月比比0.9%増の127.7グラムへと拡大した。排気量の大きいSUVの新規登録が18.9%、中大型車が同30.4%増えたことが響いた格好だ。

シェアが最も大きかったのはコンパクトカー(7.9%減)で、24.0%に上った。これにSUVが18.9%で続き、3位の小型車(7.6%減)は14.0%にとどまった。

スズキは伸び率1位に

伸び率が最も大きかったブランドはスズキで、前年同月比42.5%増の3,669台に拡大。これにダチア(27.5%増の4,220台)が続いた。

ドイツ車はBMWが3.6%増の2万4,812台に拡大した以外はすべて減少した。各ブランドの実績はオペルが0.3%減の2万1,764台、メルセデスが2.0%減の2万8,139台、スマートが2.2%減の2,666台、ミニが5.2%減の4,482台、VWが8.2%減の5万3,268台、アウディが8.6%減の2万614台、ポルシェが13.0%減の1,934台、フォードが15.9%減の1万8,122台。

スズキ以外の日本車ではスバルが13.0%増の868台と2ケタ台の伸びを記録し、レクサス(9.9%増の355台)、三菱(8.2%増の3,248台)、トヨタ(3.1%増の7,449台)、マツダ(1.7%増の6,886台)も前年同月を上回った。日産(17.1%減の6,051台)とホンダ(31.4%減の1,449台)は減少した。

日本車以外の主な輸入ブランドではシュコダ(11.6%増の1万9,484台)、現代(8.8%増の1万889台)、アルファロメオ(4.6%増の458台)が増加。そのほかはすべて減少した。各ブランドの実績はプジョーが0.4%減の4,722台、セアトが1.1%減の8,497台、ボルボが5.2%減の3,720台、ルノーが5.7%減の9,037台、ランドローバーが6.2%減の1,705台、起亜が6.5%減の5,627台、フィアットが6.9%減の6,411台、ジャガーが7.7%減の704台、テスラが8.2%減の346台、シトロエンが13.7%減の3,704台、双竜が23.7%減の209台、DSが29.4%減の226台、ジープが38.5%減の843台だった。

VDAによると、9月の国内乗用車生産台数は52万2,780台で、前年同月を1%下回った。同輸出台数は1%増の41万100台。1~9月の累計は生産台数が前年同期比2%減の427万3,000台、輸出台数が1%減の330万5,200台だった。

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