ドイツで乗用車を販売するブランドの大半が旧型ディーゼル車の下取りキャンペーンを実施していることが、デュースブルク・エッセン大学自動車研究センター(CAR)の調べで分かった。当初はフォードやトヨタ、フォルクスワーゲン(VW)など一部のブランドに限られていたが、追従しないと販売が大幅に減るリスクが高いことから、現在は25以上のブランド実施している。市場シェアで計95%を占める計算だ。
ドイツでは欧州排ガス基準「ユーロ5」以下のディーゼル車が大都市で走行禁止となる恐れが高まっている。窒素酸化物(NOx)の大気濃度が欧州連合(EU)基準を上回っているためで、ドイツメーカーは8月初旬、事態の改善に向けた自主的な取り組みの実施を政府に確約した。旧型ディーゼル車を下取りに出して新車を購入する顧客に大幅な割引を実施するキャンペーンはその1つ。割引額が1万ユーロを超えるケースもあり、追従しない量販車メーカーは販売減が避けられない状況だ。
割引競争の激化を受けて新車の割引幅(カタログ価格ベース)は9月に平均16.1%へと達し、前年同月から3.4ポイント上昇。CAR乗用車割引指数は過去最高の152へと達した(グラフ参照)。
CARのフェルディナント・ドゥーデンフェファー所長は「顧客は大幅割引に慣れてしまい、数カ月後には販売価格がさらに低下すると期待するようになる」と指摘。自動車メーカーは利益と利益率を圧迫されることになると警鐘を鳴らした。