バイエル、農薬・種子事業の一部をBASFに売却

独製薬・化学大手のバイエルは13日、独BASFに農薬・種子事業の一部を売却することで合意したと発表した。米農業化学大手モンサントの買収計画をめぐり、独禁当局から事業放出を要求されたためで、売却額は59億ユーロに上る。

BASFは「リバティ」「バスタ」「フィナーレ」ブランドでバイエルが展開する非選択的除草剤事業と、特定の市場における種子事業を取得する。種子事業では、遺伝子組み換え(GM)技術「リバティリンク」を用いた北米市場向け菜種交配種ブランド「インヴィゴル(InVigor)」、欧州を中心とする菜種事業、北米・南米・欧州の木綿事業、北米・南米の大豆事業が対象となる。

取引には品種改良事業とリバティリンクの研究事業・ブランド名も含まれており、BASFは北米・南米・欧州の種子改良施設と米国と欧州のGM研究施設を取得する。工場では除草剤グルホシネートアンモニウムを製造するドイツと米国、カナダの拠点を譲り受ける取り決めで、計1,800人以上の社員がバイエルから移籍する。

今回の取引対象事業の2016年の売上高は約13億ユーロで、営業利益(EBITDA)およそ3億8,500万ユーロを計上した。取引はバイエルによるモンサント買収の完了と、認可当局の承認を前提としており、BASFは来年第1四半期の手続き完了を見込んでいる。

農業化学業界では再編の動きが活発化しており、世界6大メーカーのうちBASFを除く5社はM&Aを通して企業規模を拡大する計画だ。同社はこうした流れに一線を画しつつも、競合の買収・合併計画に対し独禁当局が一部事業の放出を命じることを予想。放出される事業の取得に以前から意欲を示していた。

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