グラマー―戦略提携先が重要決議の阻止権獲得―

自動車シート大手の独グラマー(アムベルク)は10月25日、中国の車両内装部品メーカー寧波継峰汽車零部件が同社株を買い増し、議決権比率を従来の20.01%から25.51%に引き上げたと発表した。グラマーに対してはボスニアの事業家ハスター家が乗っ取りを目指していることから、グラマーは2月、寧波継峰汽車零部件と戦略提携を締結。寧波継峰汽車零部件は5月に株式を取得し、その後、出資比率を引き上げてきた。25%超の決議権を持つ株主は重要決議を阻止できることから、今回の措置によりハスター家の動きを抑制する考えだ。

ハスター家は傘下の独投資会社2社を通してグラマー株を20%強、保有。5月の株主総会ではグラマーの利益率が低下しているとして現経営陣を批判し、ハルトムート・ミュラー社長と監査役3人の解任を要求した。この要求は否決されたものの、同家は乗っ取りを断念していない。

ハスター家傘下のサプライヤー、プリベント・グループは昨年、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)への部品供給を拒否し、VWの生産ラインを停止へと追いやった。ダイムラーとも裁判で争っている。このため同家は自動車メーカーにとって関係を持ちたくない投資家だ。ハスター家が大株主であることから、グラマーの新規受注は大幅に落ち込んでいる。

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