高級車大手の独BMWは10月27日、自動車用リチウムイオン電池のサプライチェーンを透明化する方針を発表した。主要原料であるコバルトの採掘で環境破壊や健康被害、児童労働などの問題が報道され同電池を用いる電気自動車(EV)などへの批判が出ていることから、コバルト採掘から電池セル製造に至る供給網を明確に把握し、公表する予定だ。同社の環境保護担当者は、電気駆動車の需要拡大とコバルトなどの電池原料採掘に伴う責任は不可分の関係にあると指摘。企業の社会的責任(CSR)を果たすために持続可能なサプライチェーンの実現を図る考えを示した。
コバルトの主要産地であるコンゴでは、採掘に際して環境基準が遵守されていないうえ、劣悪な労働環境や児童労働といった問題が起きている。環境に優しいことをうたい文句とするEVなどの電池にそうした問題含みのコバルトが使用されていることへの風当たりは最近、急速に強まっている。
BMWはこの問題に対応するために経済協力開発機関(OECD)やコンゴ政府、民間企業が立ち上げた「責任あるコバルト・イニシアチブ(RCI)」に参加していることもあり、具体的な取り組みの一環としてサプライチェーンの透明化に着手。コバルトの産地と精錬事業者の情報を調査し、公開することにした。
同社はこのほか、コンゴの零細鉱業(artisanal mining)における社会・環境状況をどの程度、改善できるかを検討するために独立系のパートナーとともに実現可能性調査を進めていることも明らかにした。