独コンチネンタル、イスラエルのアルグス・サイバー・セキュリティを買収

独自動車部品大手のコンチネンタルは3日、イスラエルの新興企業アルグス・サイバー・セキュリティ(以下、アルグス)を買収すると発表した。同措置により、自動車向けのITセキュリティ技術を強化する。アルグスは買収後、コンチネンタルのソフトウエア子会社エレクトロビット(EB)に統合する。買収金額は公表していないが、イスラエルのメディアでは4億ドルとの報道もある。

自動車のネットワーク化が進み、自動運転やモノのインターネット(IoT)など自動車の新技術においてソフトウエアの重要性が高まる一方で、コネクテッドカー(つながる車)がサイバー攻撃の標的となるリスクも高まっている。このような状況に対応するため、コンチネンタルは、アルグスの買収により、自動車におけるITセキュリティの取り組みを強化する。

エンド・ツー・エンド(端から端までという意味で、通信を行う2者間の経路全体)のセキュリティソリューションやセキュリティサービスを開発・提供していく方針で、例えば、不正アクセスの検知・防止、フリート車両のITセキュリティの管理、セキュリティ・オペレーティング・センター(SOC)の運営、無線技術を使ったソフトウエアのアップデートサービスなどの開発に取り組む。

■ 共同創業者、イスラエル軍でサイバー攻撃対策の経験

アルグスは2013年の設立で、テルアビブに本社を置く。現在は、従業員70人以上の規模に成長した。米国のデトロイトと西海岸のカリフォルニア州に拠点を持つほか、ドイツに欧州事業拠点、東京にアジア・大平洋オフィスを持つ。メディア報道によると、アルグスの共同創業者4人のうち3人はイスラエル軍出身で、同軍でサイバー攻撃対策に従事した経歴を持つ。

アルグスは、2014年の投資家ラウンドで400万ドルの資金を調達、2015年9月の2回目には、2,600万ドルを確保した。2回目の投資ラウンドには独保険大手のアリアンツやカナダの自動車部品大手マグナ・インターナショナルも参加している。

エレクトロビットとアルグスは2016年からすでに、ITセキュリティ技術や車載ソフトウエアを無線でアップデートする技術の開発で協力関係にある。また、アルグスはEBに統合された後も、コンチネンタル以外の自動車部品メーカーとの取引を継続する。

上部へスクロール