清算金など12月初めまでに進展を、EU大統領が英首相に要求

EUのトゥスク大統領とメイ英首相は17日、英国のEU離脱に向けた交渉をめぐり、スウェーデンのイエーテボリで開いたEU非公式首脳会議に合わせて会談した。トゥスク氏は首脳会議後の記者会見で、12月中旬のEU首脳会議で離脱交渉の第2段階となる通商協議の開始を決めるためには、英国が支払う「清算金」などの問題について、遅くとも12月初めまでに進展させる必要があると指摘。メイ首相にこうした考えを伝え、英国の姿勢を明確にするよう求めたことを明らかにした。

英国は2019年3月にEUを離脱する予定。離脱交渉の結果は欧州議会などの承認を得なければならないため、18年秋には交渉を妥結させる必要がある。当面は12月14~15日に開く首脳会議で、自由貿易協定(FTA)締結など将来の関係をめぐる協議の開始を承認するかどうかが焦点となっている。EU側は英国が拠出を約束したEU予算の分担金など清算金の支払い、英国に居住するEU市民の権利保護、英国の北アイルランドと国境を接する加盟国アイルランドとの国境管理問題など、離脱条件に関する第1段階の交渉で十分な進展がなければ通商協議入りを認めることはできないとの立場を崩していない。

トゥスク氏はメイ氏との会談について、EU市民の権利保護に関しては大きく前進したものの、アイルランド問題と清算金について「一段の進展が必要」と指摘。「交渉スケジュールが不透明になる事態を避けるため、12月初めまでに交渉を前進させなければならない旨を明確に伝えた」と述べ、英側に譲歩を促した。

メイ首相は清算金を巡り、これまで支払い義務を果たすとくり返し表明しているが、具体的な金額などには言及していない。同氏は首脳会議終了後、「まだ解決すべき多くのことがある。重要なのは(英国とEUが)共に前進することだ」と述べ、交渉を打開するにはEU側の前向きな対応が欠かせないとの認識を示した。

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