男女賃金格差解消の行動計画発表、違反企業への罰則など検討へ

欧州委員会は20日、男女間の賃金格差解消に向けた今後2年間の行動計画を発表した。同一労働同一賃金の徹底、女性の昇進や意思決定への参加を妨げる要因の除去など、EUが取り組むべき8項目の優先課題を掲げ、必要に応じて現行法の見直しを進める方針を示すと共に、加盟国や業界団体など各方面に適切な対応を求めている。今後、欧州議会と閣僚理事会で欧州委の提案について検討する。

EUは創設時から男女平等を基本原則に掲げており、リスボン条約やEU基本権憲章にはあらゆる分野で男女平等を保障し、性差別を禁止する規定が盛り込まれている。さらに欧州委は2015年、女性の雇用促進と、男女間の賃金や年金の格差是正を柱とする5カ年戦略を策定し、加盟国はそれに沿って独自の行動計画を定めている。しかし、労働市場における男女平等の実現には程遠いのが実情で、女性の平均賃金は時給換算で男性より16.3%低く、5年前から格差はほとんど縮まっていない。

欧州委は女性の雇用率が依然として男性より低く、賃金水準が低い業種で働く女性が多いことや、出産や育児、介護なでキャリアが中断するケースが多く、昇進機会が限られていることが賃金格差の是正を妨げる主な要因になっていると指摘。ユンケル委員長率いる現体制の任期が終了する19年秋までに取り組む優先課題として◇男女同一賃金を掲げた現行指令の見直しを進め、違反企業に対する罰則を定める◇欧州議会と加盟国に対し、子供の出生時における父親の休暇や介護休暇などに関する共通ルールを定めた「ワーク・ライフ・バランス指令」の速やかな承認を求める◇女性管理職の比率を高めるためのプロジェクトを資金面でサポートしたり、各国の政府機関などに働きかけて意思決定の場における男女平等を推進する—-などを挙げている。

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