ユニリーバがマーガリン事業売却、米KKRに68億ユーロで

英・オランダ系の食品・日用品大手ユニリーバは15日、マーガリン事業を米投資ファンド大手コールバーグ・クラビス・ロバーツに売却することで合意したと発表した。売却額は約68億ユーロ。ユニリーバは不採算のマーガリン事業から撤退し、健康食品やスキンケアなど成長分野に経営資源を集中的に投下する。規制当局の承認を経て2018年半ばの手続き完了が見込まれる。

売却するのは「フローラ」「ベセル」「ブルーバンド」などのブランド。ユニリーバは今年2月に米食品大手クラフト・ハインツから提示された1,430億ドルの買収案を拒否したのを機に、事業戦略の見直しに着手。4月に発表した再編計画の中で、消費者の健康志向などを背景に業績不振が続くマーガリン事業を売却する方針を打ち出していた。

事情に詳しい関係者によると、英CVCキャピタル・パートナーズや米アポロ・グローバル・マネジメントなど、複数の投資ファンドがマーガリン事業の買収に名乗りを上げていたが、最終的にKKRが競り勝った。

グループ全体の成長を支えてきた新興国での業績鈍化や、英国のEU離脱決定を受けたポンド下落に伴う国内での生産コストの上昇などで業績が悪化している。収益改善を図るため、以前から利益率の低い食品事業を縮小して日用品事業に軸足を移しているが、クラフト・ハインツの買収ターゲットになったことをきっかけに事業戦略を抜本的に見直し、非中核部門の売却や自社株買いなどを進めている。

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