マリンクロット、米バイオ医薬品会社を買収

アイルランドの特殊医薬品会社マリンクロットは12月26日、バイオ医薬品の米スキャンポ・ファーマシューティカルズを買収すると発表した。買収金額は負債を含め約12億ドル。マリンクロットはスキャンポの便秘薬「アミティーザ(Amitiza)」や希少疾患の治験薬を取得し、製品の多様化を進める。

マリンクロットは1株18ドルで株式公開買い付けを開始する。これは22日のスキャンポ株終値に6%上乗せした水準。マリンクロットから買収の打診を受け、スキャンポが身売りを含む選択肢について検討中と報じられる前日の先月6日以降、同社の株価は14%上昇していた。マリンクロットは2018年第1四半期の手続き完了を見込んでいる。

マリンクロットは売上高の40%以上を占める副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)製剤「アクサ―(Acthar)」の販売が低迷しており、収益改善に向けて製品の多様化を急ぐ必要に迫られている。多発性硬化症(MS)や小児てんかんなど、主として自己免疫疾患の治療に使われるアクサ―をめぐっては、マリンクロットの米部門であるクエストコア・ファーマシューティカルズが米国のACTH製剤市場における独占的地位を維持するため、スイスのノバルティスから競合する製品を米国で開発する権利を取得した後、アクサ―の価格をつり上げるなどして公正な競争を阻害したとして、米連邦取引委員会(FTC)がクエストコアとマリンクロットを提訴。両社は昨年1月、和解金として1億ドルを支払うほか、FTCが承認する第3者にアクサ―と競合する製品の開発を認めるライセンスを付与することで合意した。

一方、スキャンポは共同創業者の上野隆司氏と共同研究者の久能祐子氏が1996年に設立したバイオ医薬品企業で、メリーランド州ベセスダに本社を置く。同社は14年、武田薬品工業株式会社と主力製品アミティーザの開発・販売・供給に関するグローバルライセンス契約を締結。武田薬品は以前からライセンス販売している米国とカナダに加え、日本および中国以外のすべての市場におけるアミティーザの独占的販売権を取得している。

上部へスクロール