ギリシャ議会は15日、EUから追加の金融支援を受けるために必要な包括的構造改革法案を賛成多数で可決した。これによって月内に開かれるユーロ圏財務相会合で追加融資が承認される見通しだ。
債務危機に陥ったギリシャは2015年、EUから総額860億ユーロに上る第3次支援の実施を取り付けた。融資はギリシャが約束した財政再建策を実行しているかどうかを見極めながら、段階的に実施することになっている。
今回の構造改革は、財政再建の進捗状況に関する3回目の審査をパスするために必要なもの。銀行が差し押さえた資産をインターネットで売却できるようにすることや、社会保障給付の削減などが柱となっている。生産性を損なうストライキの実施を抑えるため、スト実施には労働組合員の3分の1以上の賛成が必要というルールを改正し、同割合を50%に引き上げることも盛り込まれた。
EUは22日にユーロ圏財務相会合を開き、ギリシャの財政再建進捗状況を検証し、追加融資実施の可否を判断する。ギリシャは法案の可決によって審査を通過し、国債償還に必要な50~70億ユーロ程度の融資が承認される見込みだ。
ギリシャのチプラス政権は厳しい財政緊縮の見直しを掲げて発足したが、EUへの譲歩を重ね、融資を取り付けてきた。チプラス首相は財政再建を進め、8月に期限を迎える第3次支援からスムーズに脱却するために必要な措置として、同法案への理解を求めたが、改革案は国民の反発を招き、採決前には議会前に数万人が集まってデモを行い、交通機関が混乱した。
