ロシア金採鉱ポリュス、復星国際への株式売却がとん挫

ロシア金採掘最大手のポリュス・ゴールド(モスクワ)が中国のコングロマリット(複合企業)復星国際に対する株式売却交渉を打ち切ったことがわかった。15日付のフィナンシャル・タイムズなどが報じた。ポリュスは復星に対し同社の株式10%を売却する方向で交渉を行ってきた。両社は共に一部の条件で折り合うことができなかったと述べた。

ポリュスの株式についてはロシアの富豪スレイマン・ケリモフ氏とその家族が82.4%を間接的に保有している。ポリュスのモスクワ市場での株価は、ケリモフ氏が昨年11月に脱税の疑いでフランスの警察当局に逮捕されてから20%下落した。これについてロシアの投資会社BCSグローバルマーケットは先週発表したレポートの中で、株価の下落は復星との交渉の決裂やフランスの税務捜査に対する過剰反応だと指摘した。またフランス当局による追徴課税によりケリモフ氏がポリュスの株式の売却を迫られることにはならないとの見方を示した。

復星は2016年以来、ポリュスの少数株主となるべく交渉を行ってきた。今回の交渉決裂について一部関係者は、ポリュスが昨年ロンドン株式市場(LSE)に再上場を果たしたことと、金価格上昇を背景とした株価の安定をその理由として挙げた。

復星は海外での企業買収に積極的に取り組んできた。2015年にはリゾート事業大手の仏クラブメッドを買収した。また、ロシアとその周辺諸国での資産管理ビジネスの拡大を目的とした子会社を設立している。

ポリュスは金価格上昇を背景に、極東に持つナタルカ金鉱での増産を図っている。

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