光学大手の独カール・ツァイス(オーバーコッヘン)がスマートグラス分野で電気通信大手のドイツテレコムと合弁会社を設立した。スマートグラスの需要が十分にあると判断したためで、中期的に市場投入する考えだ。すでにプロトタイプが完成しており、26日に開幕するスペインの携帯通信関連見本市「MWC(モバイル・ワールド・コングレス)」で公開する。
折半出資の合弁会社トーズ・テクノロジーズ(Tooz Technologies)を設立した。独アーレンと米シリコンバレーに事業拠点を置く。ツァイスは光学分野の技術、ドイツテレコムはリアルタイム通信とクラウド分野のノウハウを持ち寄った。
スマートグラスをめぐっては米IT大手グーグルが2013年に市場投入したものの、製品の外見がSF風だったことから、利用者が顔認識や録音機能を密かに用いてプライバシーを侵害するとの懸念が浮上。販売が停止された。
ツァイスとテレコムはこうした事情を踏まえ、普通の眼鏡と外見が変わらないスマートグラスを市場投入する。これにより人々が警戒感を持たないようにする考えだ。
外見を普通の眼鏡と同じようにするために、ハード部品の搭載を極力抑制。データをすべてクラウド上で管理するとともに、リアルタイムで情報交換できるようにする。
同様の方向の製品は米IT大手も開発しており、半導体大手のインテルは先ごろ、独自開発の「ヴォーント(Vaunt)」を発表した。アップルも開発を進めているとされる。
ツァイスとテレコムは昨年冬、スマートグラス分野で協業することで合意した。その後、試作品を様々な業界の企業や学術機関に提供したところ、反応が良好だったため、合弁を設立し製品販売を目指すことにした。消費者のほか、物流や工場、医療など幅広い分野で需要があるとみている。航空大手のルフトハンザや複数の小売大手がすでに関心を示しているという。