被用者の25%がコンピューターで代替可能、3年で10ポイント拡大

コンピューターやロボットによる業務の代行が可能な仕事に従事する人の割合が急速に増えていることが、連邦雇用庁(BA)傘下の労働市場・職業研究所(IAB)が15日に発表したレポートで分かった。それによると、社会保険料の納付義務がある被用者(被用者でも公務員やミニジョブ就労者は同義務がないため含まれない)に占める、そうした業務に従事する人(以下:代替可能業務従事者)の割合は2013年の15%から16年には25%へと10ポイント拡大した。デジタル技術の急速な進歩が背景にある。

代替可能業務従事者の割合が最も高いのは補助要員で、58%に上った。13年に比べると12ポイント上昇している。低級専門職でも45%から54%へと9ポイント上昇した。一方、中級専門職は7ポイント増の40%、上級専門職(大卒以上)は6ポイント増の24%となっており、熟練度の高い人ほどリスクが小さい。

職種別でみると、工場労働者で最も高く83%に上った。これに生産技術者(70%)、企業向けサービス従事者(60%)が続く。

13年に比べて同割合が最も大きく増加した職種は運輸・物流で、36%から56%へと20ポイント上昇した。2位は企業向けサービス(上昇幅19ポイント)、3位は清掃(同17ポイント)、4位は流通(13ポイント)となっている。

レポート作成者は失職リスクにさらされる人が急速に増えていることを示す一方で、コスト面や法律上のハードルがあるため、代替可能業務従事者で実際に失職する人は少ないとも指摘。また、職業教育や再教育、研修を通して時代の変化に見合った能力を獲得することも可能だとして、「デジタル化に伴って雇用が大量に失われるという懸念には現時点で根拠がない」との見方を示した。

デジタル化時代の重要な能力としては協調性、コミュニケーション力、自己管理、共感力などの社会的コンピテンスを挙げた。仕事場が物理的に離れた状態で協働するケースが増えることから、逆にこうした能力の重要性が高まると指摘。職業教育では技術だけでなく、この面にも注意を払う必要があると強調した。

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