BMW―中国で新合弁、ミニEVモデル生産へ―

高級車大手の独BMW(ミュンヘン)は23日、「ミニ」ブランドの電気自動車(EV)を中国の長城汽車と合弁生産することで基本合意したと発表した。同国では環境規制が強化されるうえ、輸入車には関税もかかることから、長城汽車との現地合弁を通して世界最大の中国市場攻略を加速する考えだ。今後は生産拠点の選定や投資額など合弁事業の詳細を取り決めて本契約を締結する。

ミニは現在、英オクスフォードと蘭ボルンで生産している。中国で販売する車両はすべての輸出で、昨年は3万5,000台に上った。現地生産を開始すれば、関税を回避できるため、同国販売をさらに増やせるとみている。中国は現在、英国、米国、ドイツに次ぐミニの4番目に大きな市場となっている。

BMWはこれまで、中国市場向けの車両を現地提携先の華晨汽車と共同で生産してきた。新たに長城汽車と合弁生産を目指す背景には、同国販売台数を伸ばしたいという意向のほか、中国で生産・販売する車両の10%以上をEVなど新エネルギー車(NEV)とすることをメーカーに義務づけるルールが2019年から導入されることがある。BMWは同年に投入するミニのEVモデルを中国でも生産し、同販売比率規制に対応する考えだ。

BMWは今回、華晨汽車との合弁BMWブリリアンス・オートモーティブ(BBA)を拡大する意向も表明。また長城汽車との合弁生産に伴い販売網を新たに構築する考えはないことを強調した。

背景には上海汽車(SAIC)と共同で中国に合弁生産会社を設立すると明らかにした独アウディに対し、アウディ車の取扱台数が減少すると懸念した第一汽車(FAW)との現地合弁系のディーラーが抗議の意思を示すために輸入アウディ車の販売を昨年、ボイコットしたことがある。BMWはそうした事態を避けるために新販売網構築の考えがないことをあえて表明したとみられる。

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