日欧EPA、今夏に署名へ=首席交渉官

日本とEUは2月28日、昨年12月に妥結した経済連携協定(EPA)をめぐって協議し、英国がEUを離脱する2019年3月までに発効させるため、今夏の署名を目指す方針を確認した。日欧は双方の隔たりが大きい投資分野を協定から切り離し、関税分野を先行して発効させることで合意しており、今夏の署名に向けて調整を急ぐ。

鈴木庸一首席交渉官はブリュッセルで開催された会合後の記者会見で、「来年3月末までに協定を発効させることが最優先だ」と強調。日本側では年内に批准手続きを完了させることが可能との見方を示した。

一方、EU側首席交渉官のマウロ・ペトリチオーネ欧州委員会貿易総局次長は、欧州委は今夏の署名を目指して全力を尽くしていると説明。条約や協定案の翻訳作業には通常7~8カ月を要するが、今回は2カ月で完了するよう指示していることなどに触れ、「来年初めの発効を予測することは理に適っている」と述べた。

日欧EPA交渉は昨年7月、関税分野と知的財産保護などのルール分野で大枠合意に達した。しかし、昨年12月の首席交渉官会合でも投資紛争の解決制度をめぐって双方の溝が埋まらず、同項目を協定本体から分離して交渉全体の妥結を優先させることで合意した。企業と国家の紛争解決制度に関しては、日本側が環太平洋経済連携協定(TPP)などに盛り込まれている「投資家対国家の紛争解決(ISDS)」条項の維持を訴えているのに対し、EU側はISDSに代わるメカニズムとして、常設の投資裁判所の設置を提案している。

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