フィンランド原発の建設遅延問題で和解、シーメンスに補償義務なし

フィンランドの原発運営事業者テオッリスーデン・ヴォイマ(TVO)は11日、オルキルオト原子力発電所3号機(OL3)の建設遅延を巡る係争で、仏国営原子力大手のアレバを中心とするコンソーシアムとの間で和解したと発表した。アレバはTVOに補償金4億5,000万ユーロを支払う。

OL3はフィンランド南西部沿岸のオルキルオトに建設されている同原子炉で、アレバと独シーメンスのコンソーシアムが受注した。当初計画では2009年4月に完成し、同年7月にTVOが運転を開始する予定だったが、技術的問題や書類提出の遅延で工事は大幅に遅れ、総額およそ100億ユーロの損出が発生。TVOと同コンソーシアムはそれぞれ相手側を非難し、仲裁裁判で損害賠償を請求していた。同コンソーシアム側の請求額は最終的に35億ユーロ、TVOは同23億ユーロへと膨らんでいた。

アレバは今回の和解で、4億5,000万ユーロを支払うものの、OL3の操業を19年5月までに開始できれば、1億5,000万ユーロの返還を受けることができる。遅延の場合は時間の経過とともに返還金が減少していく。年内に稼働を開始できなかった場合は返還金を受けられないうえ、補償金額が最大4億ユーロ上乗せされることになる。

同コンソーシアムのジュニアパートナーであるシーメンスには補償金の支払い義務がない。シーメンスによると、同社が担当した蒸気タービンと発電機、制御設備は期限内に設置済みで、同社のチームはこれらの設備が劣化しないよう管理を続けている。シーメンスはすでに原発事業から撤退しており、OL3をめぐる問題は負の遺産となっていた。

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