スロバキアのロベルト・フィツォ首相が15日に辞任した。ジャーナリストの殺害事件をめぐり政権批判が高まっていることから、責任を取った格好だ。キスカ大統領は同日、ペレグリニ副首相を新首相に任命し、組閣を要請した。ただ、野党や市民は議会の解散・総選挙を求めており、事態が収束するかは不透明だ。
同国では先月下旬、政界とイタリア・マフィアの癒着を取材していたヤン・クチアク記者(27)が婚約者の女性とともに自宅で射殺された。同記者が追跡していたのが、国内のイタリア人実業家によるEU助成金の詐取疑惑だったことから、EU各国で事件に対する非難の波が巻き起こった。国内でも1989年の体制転換以来となる大規模な市民の抗議行動に発展し、2020年に予定されている総選挙の前倒しを求める声が日増しに強まっていた。
フィツォ首相は当初、収賄疑惑の渦中にあるカリニャーク内相を解任して事態の鎮静化を図った。しかし、連立与党のハンガリー少数民族政党「橋)」が、首相が辞任しなければ連立を離脱すると警告したため、辞任に追い込まれた。