露石化最大手シブール、中国国境付近に石化コンビナートを新設

ロシアの石油化学最大手シブールが中国との提携を強化する。中国への輸出拡大に向けて、黒竜江省との国境近くに「アムール石油化学コンビナート」を建設し、ポリエチレンを年間150万トン生産する方針だ。投資額は60億~70億米ドル。2020年に着工し、24年に稼働する。

ロシアはウクライナ紛争で欧米との関係が悪化したのを機に、中国との関係強化に努めている。主な提携先の一つである国営の中国石油化工(シノペック)は、シブールに10%資本参加している。

シブールのディミトリ・コノフ社長によると、シノペックは国内で不足が続くプラスチック材料の調達先として、距離的に近い場所に拠点を置くロシア企業を探していた。これに応えるのが新コンビナート設置の第1の理由だが、「もちろん、他の東アジア諸国への出荷もありうる」と話している。

新プラントには、ロシアから中国への天然ガス供給を目的に建設中の「シベリアの力」パイプラインが燃料を供給する。

シブールはまた、やはり10%の出資を受けている中国・シルクロード基金と協力し、中央アジアなどで石化プラントを設置する計画を視野に入れている。

シブールはロシアの大手企業のなかでも採算性が高い。昨年の営業利益(EBITDA)は28億ドル、営業利益率は35%だった。

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