シーメンス―仏アルストムとの新会社、本社はパリ近郊に―

電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)は23日、鉄道事業などからなるモビリティソリューション部門を仏鉄道車両・設備大手のアルストムと統合することで最終合意したと発表した。中国国営2社の合併で誕生した中国中車(CRRC)が世界ダントツの売上規模を持つことから、グローバル市場で対抗するためには欧州大手2社の統合が不可欠と判断し、両社は合併を決めた。2018年末の合併手続き完了を見込む。

フランスで上場する新会社シーメンス・アルストムをパリ近郊のサン・トゥアンに設立する。シーメンスは50.7%強を出資して経営権を掌握。11人からなる取締役会に同会会長を含む6人を派遣する。残り5人のうち4人はシーメンスとアルストム以外の人材が就任し、アルストムのアンリ・プパールラファルジュ最高経営責任者(CEO)は新会社のCEOとして取締役会に参加する。また、新会社の取締役会長にシーメンスのローラント・ボッシュ取締役(モビリティソリューション事業担当)、取締役副会長にアルストムのヤン・デラブリエール社外取締役(ゾディアック・エアロスペース社長)がそれぞれ就任する。

シーメンスのモビリティソリューション部門の2016年の売上高は80億ユーロ、アルストムは同73億ユーロで、計153億ユーロとなる。営業利益(EBIT、調整済み)は同12億ユーロで、売上高営業利益率は8.0%。新会社では売上高を年4%以上のスピードで拡大し、23年には200億ユーロ以上に拡大する計画だ。売上高営業利益率も11~14%に改善するとしている。

シーメンスとアルストムは事業の重複が多いため、欧州連合(EU)の欧州委員会が行う独禁審査で事業の放出など厳しい条件を課される可能性が高い。ただ、中国南車集団と中国北車集団の合併で2015年に設立されたCRRCは売上高が305億ユーロと、世界2位となるシーメンス・アルストムの2倍に上るうえ、外資との合弁を通して吸収した技術やノウハウをもとに独自の高速鉄道を開発し世界市場で販売攻勢をかけていることから、欧州委はこの事情を考慮するとの見方もある。

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