ラトビア銀行界、ペーパーカンパニーとの取引禁止へ

ラトビアの金融セクター発展委員会は21日、同国の銀行が問題のある外国企業と取引を行うことを禁止する決定を下した。クチンスキス首相によると、まずはペーパーカンパニーとの取引を禁ずる法案を検討しており、4月3日の閣議を経て8日には議会に送付できる見通し。同法案の成立後、5月から新法が施行される予定。

施行後は新たに設立されたペーパーカンパニーが口座を開設することはできなくなる。また数カ月の移行期間を経て、ペーパーカンパニーの口座への送金も不可能になる見通しだ。同国の金融・資本市場委員会のプトニンシュ委員長は、疑いのある企業もラトビアにある銀行口座から資金を引き上げることになるとの見方を示した。同国の銀行は新法の施行に合わせ今後の計画を策定するよう求められている。

米財務省は先月、ラトビア3位のABLV銀行が北朝鮮の資金洗浄に関与していたと指摘。その後同行の資金繰りが悪化し、欧州中央銀行(ECB)が全ての支払いの停止を命じた。また、同国中央銀行のリムシェーヴィチュ総裁が汚職の疑いで一時身柄を拘束されるなど同国の金融セクターでは混乱が続いている。

金融・資本市場委員会によると、ラトビアの銀行は2万6,081のペーパーカンパニーと取引を行っている。これら企業の資産規模は同国の銀行の貸付総額の36.57%、非居住者に対する貸付総額の44.5%を占める。

プトニンシュ委員長は以前、ペーパーカンパニーとの取引がなくなった場合、ラトビアの銀行にある非居住者の預金総額は40億から50億ユーロ減少するとの見方を明らかにしている。同国では現在10の銀行が外国企業や個人に特化した事業を行っている。

旧ソ連諸国と欧州連合(EU)諸国を結ぶ金融ハブの役割を果たしてきた同国の銀行界は、モルドバの銀行やロシアで盗難された資金の移動に関与していたなどとして非難が高まっていた。

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