ダイムラーとBMW、移動サービスを統合

高級車大手の独ダイムラーとBMWは3月28日、両社の移動サービス事業を統合することで合意したと発表した。大きな成長が見込まれる同分野で手を組み、総合的なサービスを提供することで、米ウーバーなどIT系の競合に対抗していく。ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長は「自動車製造のパイオニアであるわが社は将来の都市モビリティの分野を他社に明け渡さない」と明言した。

両社の当該事業を持ち寄って折半出資の合弁会社を設立する。具体的には(1)様々な移動手段を各顧客のニーズに合わせて連携させ予約から決済までを一手に引き受ける「マルティモーダル/オンデマンドモビリティ」(2)カーシェアリング(3)アプリを用いたタクシーなどの呼び寄せサービス「ライド・ハイリング」(4)駐車場探しから予約、決済までを一手に引き受ける仲介サービス(5)電動車向けに近場の充電ステーションを知らせ、充電後の決済も引き受けるサービス――の5分野で事業を統合する。

都市部では自動車を持たないものの、柔軟に移動できることを求める消費者が増えている。こうしたニーズに応えるためには幅広い移動サービスを一手に提供する必要があり、市場は急速に拡大中。この傾向は今後も続く見通しのため、自動車メーカーとIT系企業は激しい競争を繰り広げている。

カーシェアやライドシェア、駐車場仲介サービスは渋滞緩和や二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)の排出削減につながる効果もあることから、生活の質の向上や環境改善の面でも期待が大きい。

ダイムラーとBMWは今回の合意に先立って、カーシェア分野でこれまでの提携先との関係を清算した。BMWはレンタカー大手ジクストとの合弁を解消。ダイムラーもヨーロッパカーとの欧州合弁を完全傘下に収めた。

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