フォルクスワーゲン―ミュラー社長が実質解任の方向―

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)グループは10日、取締役会の運営体制の変更を検討していると発表した。取締役の入れ替えや担当分野の変更のほか、マティアス・ミュラー社長が辞任する可能性もあるとしている。理由は明らかにしていない。親会社ポルシェ・オートモービル・ホールディングは同日、「フォルクスワーゲン取締役会で人事異動が行われる場合、ポルシェ・オートモービル・ホールディングの取締役会でもそれに相応した人事異動が行われる可能性がある」との声明を発表しており、親会社が絡んだ問題であるようだ。

ミュラー社長は2015年、排ガス不正問題の発覚で辞任したマルティン・ヴィンターコルン社長の後任として就任した。VWは排ガス不正問題で巨額赤字に転落したものの、ミュラー社長のもとで改革を進め業績を改善しており、同社長に大きな落ち度は見当たらない。

『南ドイツ新聞』によると、VW取締役会の人事入れ替えの背景には同社の企業戦略を変更したいという親会社ポルシェのオーナー一族(ポルシェ家とピエヒ家)の意向がある。排ガス不正問題は無関係という。

ミュラー社長は基本的に辞任を受け入れている。後任は明らかにされていないが、複数のメディアの報道によると、ヘルベルト・ディース取締役(VWブランド乗用車担当)が就任するもようだ。ディース取締役の社長昇格はポルシェ家とピエヒ家の意向とみられている。

VW取締役会の運営体制変更は13日の監査役会で決定されるもよう。同監査役会ではこのほか、商用車部門の分離計画についても協議が行われる可能性がある。

ミュラー社長は親会社ポルシェの取締役(戦略・経営企画担当)も務めている。VW社長を辞任した場合は、ポルシェの同取締役ポストもディース氏が引き継ぐ可能性が高い。

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