遠隔医療のパイロットプロジェクトが16日、西南ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州で始まった。公的健康保険の加入者を対象としたドイツ初の遠隔医療サービス。国内に前例がないものの、試行錯誤を通してドイツの実情に見合ったサービスのあり方を模索していく考えだ。
「ドクディレクト」と命名された同プロジェクトを利用するためにはまず、医療の専門知識を持つスタッフがオペレーターを務めるコールセンターに電話。オペレーターは病状を判断して必要があれば患者を緊急医療センターに回す。それ以外の患者は「バーチャル待合室」に回される。
医師は電話、チャット、ビデオ通話を通して診察を行い、必要があれば患者を近隣の医師に紹介する。処方箋については州社会省の特別許可を受けたものの、薬局業界が疑念を示したことから当面、見合わせる。
同プロジェクトはシュツットガルトとトゥトリンゲンの2地域で実施。一般医と小児科医が合わせて約50人、参加する。必要があれば様々な分野の専門医を取り込んでいく考えだ。
費用は公的健康保険が年160万ユーロを負担。診察報酬は患者1人当たり25ユーロとなっている。専用のプラットフォームは2015年設立のスタートアップ企業テレクリニックが構築した。