武田がシャイアーに新たな買収提案、交渉は最終段階へ

武田薬品工業は25日、アイルランドの製薬大手シャイアーの買収交渉について、同社に総額460億ポンド(約7兆円)の新たな買収案を提示したと発表した。シャイアーの取締役会も武田の新提案を自社の株主に推奨する方針を示しており、交渉は大詰めを迎えた。武田は最終合意の期限を当初の25日午後5時(日本時間26日午前1時)から5月8日午後5時(同9日午前1時)まで延長し、最終調整を急ぐ。

武田の新提案は、1株当たり49ポンドでシャイアーの全株式を取得するという内容。武田が新たに発行する27.26ポンド相当の同社株式と、現金21.75ポンドを組み合わせて支払う。武田はこれまでに少なくとも4回、買収案を提示しており、買収額は当初から7,000億円程度膨らんだ。

武田のシャイアー買収は、希少病医薬品部門とがん、消化器系疾患、神経精神疾患の治療薬部門の底上げが狙い。2017年のシャイアーの売上高は約150億ドルで、武田とほぼ同規模だが、血友病など希少疾患の治療薬で競争力が高く評価されており、時価総額は5兆円超と武田(約3兆6,000億円)を大きく上回る。このため、最終的に買収額が7兆円までつり上がった。

買収が実現すると、2016年にソフトバンクグループが英半導体設計大手のアーム・ホールディングスを約240億ポンド(約3.7兆円)で買収したケースを大きく上回り、日本企業による過去最大の海外企業買収となる。ただ市場関係者の間では、巨額買収によって武田の財務状況が悪化する事態を懸念する声も出ている。

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