保険大手の独アリアンツは4日、個々の炭鉱・石炭発電所向けの保険事業から新規も既存も含めて即時撤退すると発表した。同社は脱炭素社会の実現に積極的に貢献していく方針を打ち出しており、保険部門の顧客資金運用でも二酸化炭素(CO2)の排出量が多い企業への投資基準を引き上げていく。
アリアンツはCO2を大量に放出する企業や施設、プロジェクトを、損害・事故保険サービスの提供先と保険顧客資金の運用先から2040年までに全面除外することを決めた。
保険顧客資金の運用では石炭採掘ないし石炭発電が売上高の30%以上を占める企業への投資を15年の時点ですでに中止している。同社は今回、同売上比率を今後、段階的に引き下げていき、40年に0%とすることを決定した。資産運用部門の顧客資金についてはこの方針を適用しない。
保険の提供に関しては石炭発電所向けを同日付で打ち切ったものの、石炭のほか天然ガスや再生可能エネルギーなど複数の電源を利用する電力会社本体に対しては当面、保険サービスを継続する。ただ、これについても40年までにCO2排出をゼロとすることを顧客に要求する考えで、実現できない電力会社とは保険契約を打ち切ることになる。
石炭発電所が保険の適用を受けられないと事故が起きた際の財務リスクが大きくなることから、他の保険会社がアリアンツに追随すると、電力会社は稼働を停止せざるを得なくなる。同社の広報担当者はロイター通信に、今回の措置が同業者にシグナル効果を発揮することを期待したいと述べた。