金融情報サービス大手の米トムソン・ロイターは15日、英国で展開している外国為替取引サービス部門の一部をアイルランドに移転すると発表した。英国のEU離脱によって「単一パスポート」制を利用できなくなるためで、ダブリンに新会社を設立して対象業務の拠点とする。
移転するのは外国為替のデリバティブ取引部門。アイルランド中央銀行に認可を申請した。英国がEUを離脱する2019年3月までに移転する方針だ。外国為替取引サービスのうちスポット取引部門などは英国に残す。
EUでは金融・証券会社などが加盟国のうち1カ国で認可を取得すれば、域内全域で活動することができる「パスポート制度」が導入されている。英国のEU離脱を受けて、関連業界では同国の拠点を他の加盟国に移す動きが相次いでおり、トムソン・ロイターが出資する債券・デリバティブの電子取引プラットフォーム運営会社トレードウェブは昨年、欧州事業の中核拠点を英国からオランダのアムステルダムに移すと発表していた。