デジタル地図大手の蘭ヒア・テクノロジーズ(アムステルダム)は22日、自動運転車向け道路地図の分野でパイオニア、中国の北京四維図新科技(ナブインフォ)、韓国のSKテレコムの3社と協業すると発表した。共同の地図を用いる「ワン・マップ・アライアンス」を結成し、自動車メーカーが世界規模で地図を容易に導入できる環境を構築する。さらなるパートナーを積極的に受け入れていく考えだ。
ヒアが開発した自動運転車向け地図「ヒアHDライブ・マップ」を世界規模で導入していく。ヒアは同地図を用いて欧州、北米、韓国、シンガポール、アラブ首長国連邦で年末までに計100万キロメートル以上の道路をカバーしたサービスを提供する予定。日本の地図はパイオニア子会社のインクリメントP、中国の地図はナブインフォがヒアの規格と仕様に適合させた形でそれぞれ提供する。SKテレコムは大量のプローブデータ(GPS搭載車から得られる移動軌跡情報)とセンサーデータを利用して、ヒアHDライブ・マップの更新やその他の動的データサービスを供給する。
ヒアのラルフ・ヘルトヴィッヒ上級副社長は、自動車メーカーは地域を超えて整合のとれた高品質な地図を調達することで開発期間とコストを削減できると指摘し、ワン・マップ・アライアンスが顧客メーカーにメリットをもたらすことを強調した。
日本ではインクリメントPなどの地図会社と自動車メーカーが出資するダイナミックマップ基盤株式会社(DMP)で3次元高精度地図データの整備を進めている。インクリメントPの神宮司巧社長は「DMPによって整備される日本国内の高精度地図データは、ヒアHDライブ・マップを通じて欧米の自動車メーカーに提供される」と述べた。