化学業界が景気の先行きを懸念

独化学工業会(VCI)は16日に発表した第1四半期(1~3月)の業界レポートのなかで、景気の先行きへの懸念を表明した。米トランプ大統領が打ち出した保護主義政策に伴う通商摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱交渉の不透明な見通し、中東危機などのリスク要因が増えているためで、「年初ほどは楽観的でいられなくなくなった」としている。

化学・製薬業界の第1四半期の生産高は営業日数と季節要因を加味した実質で前期を1.6%上回った。医薬品部門が10.6%増加して全体を強く押し上げた格好で、化学分野の部門はすべて減少。医薬品を除いた生産高は2.4%落ち込んだ。

出荷価格は平均0.9%上昇した。上げ幅が最も大きかったのは石油化学品・誘導体で、3.3%に上った。これに無機基礎化学品が1.8%で続く。医薬品は0.1%だった。

業界売上高は横ばいにとどまった。石油化学品・誘導体と医薬品はそれぞれ2.8%増加したものの、他の部門が減少したことから増減がなかった。地域別では国外が0.6%増、国内が0.9%減だった。

工場稼働率は83.8%で、前期の85.1%から1.3ポイント低下した。水準自体はこれまでに引き続き高い。

上部へスクロール