スロベニアで3日行われた議会選挙(定数90)は、ヤネス・ヤンシャ元首相(59)の率いる中道右派の民主党(SDS)が25%を得票して勝利した。主な争点となった難民問題で強硬姿勢を打ち出して支持を集めた。ハンガリー、オーストリア、イタリアなどに続く反難民受け入れ政党の勝利で、欧州連合(EU)の難民政策に反対する勢力が強まっている様子がうかがわれる。ただ、SDSの組閣には2党以上との連立が必要で、交渉難航が予想される。
選挙管理委員会が開票率99.9%の時点で発表した結果によると、SDSは25議席を確保する。2位は元コメディアンのマリャン・シャレツ氏が率いる「マリャン・シャレツ・リスト(LMS)で、12.7%を得票し、13議席を獲得する。以下、社会民主党(SD)が9.9%(10議席)、政権党だった現代中央党(SMC)が9.8%(10議席)、左派党が9.3%(9議席)と続いた。
パホル大統領はヤンシャ氏に組閣を命じる方向だ。しかし、選挙戦でハンガリーのオルバン首相が応援に駆け付けるなど、ハンガリー政府との連帯姿勢を打ち出したことで、多くの政党がSDSとの連立拒否を明確にしており、多数派を形成するのは難しい様相だ。
一方で第2党LMSを率いるシャレツ氏は、ヤンシャ氏の連立交渉が失敗した場合には、自ら組閣に挑む意思を示している。
シャレツ氏は政治家の物まねを得意とするコメディアンだったが、政界に転身し、8年前から北部カムニクの市長を務めている。昨年11月の大統領選挙では有力候補のパホル候補を相手に決選投票へ持ち込み、47%を得票して注目された。