一般世帯のソーラー発電を利用した仮想発電所を運営する独ゾンネン(ヴィルトポルツリート)は23日、石油大手の英シェルと既存の出資者から事業資金6,000万ユーロを調達したと発表した。事業の国際化に充てる考え。シェルとは戦略協業合意も締結した。
ゾンネンは2010年設立の新興企業。蓄電池を製造・販売するほか、独自開発のソフトウエアを用いて◇太陽光発電システムと蓄電池をともに持つ世帯をネットワーク化する◇過剰な電力を持つ世帯から電力が不足する世帯に電力を融通する――「ゾンネンコミュニティ」という名のネットワークを運営している。売上高は急増しており、昨年は約60%増の6,500万ユーロへと拡大した。
同社は15年にも7,600万ユーロを投資家から調達。2年前には米アトランタに蓄電池の開発・製造拠点を設けた。需要が大きいオーストラリアにも自社工場(アデレード)を開設し、これまでの輸出から現地生産へと切り替える予定だ。今回調達した資金は主に北米とオーストラリアでの事業強化に投じる。
シェルとの協業ではシェルが全世界に持つ販売チャンネルを活用して事業の国際化を加速。また、シェルが子会社ニューモーションを通して展開する充電サービスをゾンネンの仮想発電所と連携させ、電動車向け事業を強化する考えだ。
ゾンネンには米ゼネラル・エレクトリック(GE)や中国の風力発電設備大手・远景能源(Envision)、チェコ電力大手CEZも資本参加している。