グラマー―中国の筆頭株主が買収の方向―

自動車シート大手の独グラマー(アムベルク)は29日、筆頭株主である中国の車両内装部品メーカー寧波継峰汽車零部件が同社を買収する方向で交渉していることを明らかにした。市場の観測を追認した格好。交渉は進展した段階にあり、寧波継峰は合意が成立した場合、株式公開買い付け(TOB)を実施する。

買収価格は1株当たり61.25ユーロで、そのうち1.25ユーロを配当が占める。グラマーを約7億7,200万ユーロと評価した格好。寧波継峰はグラマー株をすでに25.51%保有していることから、残りの全株式を取得した場合の買収価格は5億7,900万ユーロとなる。

グラマーに対してはボスニアの事業家ハスター家が乗っ取りを目指していることから、グラマーは昨年2月に寧波継峰と戦略提携合意。寧波継峰は同5月に株式を取得し、その後、出資比率を引き上げてきた。

グラマーの売上高が18億ユーロに上るのに対し、中国自動車メーカーを主な顧客とする寧波継峰は同2億5,000万ユーロにとどまる。買収資金をどのように捻出するかは不明。株式を公開しているものの、大半をオーナー一族が保有している。

寧波継峰のJimin Wang取締役は、「グラマーのような強力なパートナーとの協働を通して競争力を強化する。中国、欧州、北米に投資する」と発言。今後5年で世界有数のサプライヤーになる考えを示した。グラマーを通して国際市場への進出を図るとともにシナジー効果を引き出す意向だ。

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