高級車大手の独ポルシェが新車の販売受付を全面的に停止している。9月以降の新車登録に適用される排ガス規制の準備が間に合わないためだ。BMWやフォルクスワーゲン(VW)などでも一部モデルの受付を停止しているが、全面停止はポルシェが初めて。『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が1日報じたもので、広報担当者は「一時的に販売を停止している」ことを認めた。
同社のサイトで顧客が希望モデルの見積りシミュレーションを行うと、希望のモデルは現在、入手できないとの表示が出たうえで、購入に関心がある場合は販売店に行くことが推奨される。実際に販売店に行くと、「カイエン」と「パナメーラ」については早くても来年3月にならないと入手できないことが伝えられ、「911」に関してはメドがつかないとの回答を受ける。
欧州連合(EU)では排ガス規制が強化され、9月以降に新車登録する車両は、実際の走行に近い排ガスデータが得られる台上試験「世界統一試験サイクル(WLTP)」と、実際に道路を走る際の排ガス量を測定する「実走行排ガス試験(RDE)」の2試験をクリアしていなければならない。WLTPとRDEのクリアに必要な技術的なハードルは高く、ポルシェはこれを軽視していたもようだ。
同社内の情報としてFAZ紙が報じたところによると、ポルシェでは受注残数が多いことから、新排ガス規制が発効する9月1日より前に既存受注車の新車登録を完了することが至上命令と化している。9月1日以降では新車登録ができなくなるためだ。