欧州議会と加盟国、「電気通信規約」で基本合意

欧州議会とEU加盟国は5日、超高速ブロードバンド網への投資促進策などを盛り込んだ「電気通信規約」の内容で基本合意した。これは2009年に制定された電気通信分野の規制パッケージに代わるもので、複数の通信事業者が共同で光ファイバー網の整備を進めることができるようにすることなどを柱とする内容。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールが導入される。

EUはデジタル単一市場の実現に向けた取り組みの一環として、EU全域で光ファイバーによる超高速ブロードバンドの基盤整備を進め、2025年までに域内の大学や学校、研究機関、病院、行政機関、デジタル技術への依存度が高い企業などから1Gbps (1,000Mbps)のインターネットサービスを利用できるようにするとともに、農村部を含めた域内のすべての世帯で少なくとも下り100Mbpsのインターネットサービスを利用できるようにすることを目指している。また、同じく25年までに域内のすべての都市部と幹線道路および鉄道沿いで第5世代(5G)モバイル通信システムを実用化するとの目標を掲げ、第1段階として、20年までにEU各国の少なくとも1都市で商用サービスを開始することを目指している。欧州委はこうした目標を実現するための具体策として、2年前に電気通信規約の原案をまとめた。

欧州委によると、25年までに域内全域で超高速インターネット接続を実現するには約5,000億ユーロの投資が必要だが、現在のところ民間投資が当初の計画を1,550億ドル下回っている。このため新ルールでは複数の通信事業者が共同で光ファイバー網の整備を進めることができるようにするほか、ブロードバンドサービス事業者への光ファイバー網の開放義務を緩和するなどして、早期に投資を回収できる仕組みを導入する。

一方、第5世代(5G)モバイル通信システムの実用化に向け、20年までにEU全域で5G周波数を確保し、事業者に割り当てる周波数帯ごとの電波利用権(免許)については有効期間を最低20年とする。さらにすべてのEU市民が低料金で基本的な通信サービスを利用できるよう、19年5月以降、域内の他の国に電話する際の料金を1分当たり最大0.19ユーロ、ショートメッセージサービス(SMS)は最大0.06ユーロに制限する新たな規制を導入する。

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