自動車部品製造の独ノイエ・ハルベルクグス(NHG)で従業員が展開するストの影響が顧客の自動車メーカーに及んでいる。部品供給が停止したためで、主要顧客のフォルクスワーゲン(VW)は労働時間口座を活用して一部従業員に休暇を取らせている。オペルはNHGのストが長期化すればしわ寄せを緩和するための措置を実施する意向だ。
NHGはシリンダーとクランクケースを一体化したエンジン部品であるシリンダーブロックを製造している。今回のストは、VWとの関係が悪化している独投資会社プリベント・グループが年初にNHGを買収したことが発端となって起きた。
プリベントはボスニアの事業家ハスター家の投資企業。同社は2016年夏、VWに対しシートカバーと差動歯車枠の納入を拒否し、VWを一時、生産停止と操短に追い込んだ。VWは生産を再開するためにプリベントの要求を甘受したものの、これを教訓に部品の調達先を複数化。供給拒否に直面しても生産を継続できる体制を構築したうえで今春、プリベント系サプライヤーからのシートカバー調達を突然、打ち切った。
VWはプリベント系のサプライヤーでは供給に支障が出る恐れがあったため、契約を打ち切ったと強調。報復観測を否定している。
だが、プリベントは同措置を不当な報復とみなして裁判を起こしたほか、NHG製シリンダーヘッドの販売価格を大幅に引き上げた。これを受けてVWがNHG製品の調達量を大幅に削減したことから、NHGの経営陣はライプチヒ工場(従業員700人)の閉鎖とザールブリュッケン工場の人員削減(1,500人中300人)を決定。リストラ計画の策定に向けて金属労組IGメタルと交渉を開始したものの、決裂したことから、同労組は従業員投票を実施したうえで14日からストを開始した。
労使交渉再開のめどは立っておらず、ストは長期化する恐れもある。