ギリシャ、マケドニアの両政府は12日、マケドニアの国名を「北マケドニア共和国」に変更することで合意したと発表した。合意内容は両国の議会で承認される必要があるが、マケドニアの欧州連合(EU)加盟の障害となってきた同問題が政府レベルで決着したことで、マケドニアはEUとの加盟交渉開始に向けて大きく前進した格好となる。
マケドニアは2005年、EUから加盟候補国として認定されたが、EU入りに向けた次のステップとなる加盟交渉開始は、国名をめぐって対立するギリシャの拒否権発動によって先送りされている。両国はギリシャのチプラス首相とマケドニアのザエフ首相が行った電話協議で、同問題で合意。これによってギリシャ側は拒否権を行使せず、マケドニアとEUの加盟交渉開始を支持する見込みだ。
マケドニアは1991年に旧ユーゴ連邦から独立した際、憲法で正式名称を「マケドニア共和国」とした。しかし、ギリシャが古代ギリシャの英雄アレキサンダー大王の出身地である同地の名前を全面に出した国名に反発。同国は暫定的に「マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(FYROM)」を名称としているが、最終的な名称をめぐって両国の対立が続いてきた。
今回の合意は両国の議会による批准が必要。マケドニアでは憲法改正が伴うため、国民投票も実施しなければならない。
ギリシャでは今回の合意について、連立与党に加わる右派の「独立ギリシャ人」が依然として国名に「マケドニア」が用いられることに反発。承認を拒否する姿勢を示している。マケドニアでも妥協の産物の国名を批判する動きが出ており、同問題が最終決着にこぎ着けるかは不透明な情勢だ。