独自動車大手のダイムラーは20日、ドイツ西部のエルヴェルリングセンで交換用の電気駆動車用バッテリーモジュールを使用した定置用蓄電システムが稼働したと発表した。ダイムラー傘下の超小型車ブランドであるスマートの電気自動車「スマート・エレクトリック・ドライブ」の第3世代モデル向けの交換用バッテリーモジュール1,920個(少なくとも600台分に相当)を使用しており、蓄電システムの電気容量は9.8メガワット時(MWh)となる。
ダイムラーによると、交換用電池は、性能を保持するため、在庫として保管中も定期的に充放電を行う必要がある。このため、交換用電池を蓄電システムに活用して、いわゆる「生きた在庫」とした。蓄電した電力は、電力網の需給を安定させるための一次予備電力(primary control power)に使用する。今回の蓄電システムは、エルヴェルリングセンで先ごろ操業を停止した石炭火力発電所の敷地内に設置した。
ダイムラーは2017年にハノーバーで、同様の定置用蓄電システム(蓄電容量:17.4 MWh)の運用を開始した。また、2016年にはドイツ西部のリューネンに、「スマート・エレクトリック・ドライブ」の第2世代モデルに搭載された使用済み電池を再利用した蓄電システム(蓄電容量12.8MWh)を稼働させており、ダイムラーが電気駆動車用バッテリーモジュールを使用した大型定置用蓄電システムの運用を開始するのは今回で3カ所目となる。
今回のプロジェクトには、ダイムラーの100%子会社でメルセデス・ベンツブランドの定置用リチウムイオン蓄電池を開発・販売する子会社メルセデス・ベンツ・エナジー、充電機器の販売・設置サービス会社のザ・モビリティ・ハウス、電力会社ゲテック傘下のゲテック・エネルギーが参加している。