欧州委員会は13日、独電機大手シーメンスと仏鉄道車両・設備大手のアルストムが鉄道事業を統合する計画について、競争法の観点から本格調査を開始したと発表した。鉄道車両世界2位と同3位の統合が実現すると、鉄道事業者の選択肢が狭められ、消費者に悪影響が及ぶ恐れがあると指摘している。両社の事業統合が市場に与える影響を詳しく分析し、11月21日までに計画を承認するかどうか判断する。
シーメンスは昨年9月、鉄道事業を柱とするモビリティソリューション部門をアルストムと統合し、新会社シーメンス・アルストムをパリまたはその近郊に設立すると発表した。鉄道車両市場では中国国営2社の合併で誕生した中国中車(CRRC)が圧倒的なシェアを持つため、グローバル市場で対抗するためには欧州大手2社の統合が不可欠と説明していた。
欧州委は声明で、シーメンスとアルストムの統合が実現すると、欧州では統合新会社のシェアが2位以下の3倍に達し、車両のほか信号システムなどの分野でも公正な競争が阻害される恐れがあると指摘。また、当面CRRCが欧州市場に本格参入する可能性は低いとの見方を示し、同社に対抗するにはアルストムとの事業統合が不可欠とするシーメンスの主張を退けた。
シーメンスとアルストムは欧州委の調査に全面的に協力するとしたうえで、引き続き2019年前半の手続き完了を目指す方針を示している。