中国のCATL、独に電池工場開設

中国の車載電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)は9日、独中部のテューリンゲン州エアフルトにリチウムイオン電池工場を建設することで同州政府と合意した。同社が中国以外に工場を設置するのは初めて。電動車用電池を欧州の自動車メーカーに供給する計画で、すでにBMWと契約を結んだ。

年産能力14ギガワット時(GWh)の工場を建設する計画で、2022年までに2億4,000万ユーロを投資する。雇用規模は600人。ドイツは電力コストが高いことから、生産の自動化で運営コストを圧縮する。車両1台当たりの電池容量を50キロワット時と想定すると、同工場では28万台分の電池を生産できる計算だ。

BMWはCATLのエアフルト工場から総額15億ユーロの電池供給を受けることで合意した。独南部のディンゴルフィング工場で生産予定の自動運転機能付き電気自動車(EV)「iネクスト」にCATL製セルを用いた電池パックを搭載する。BMWは中国でもCATLから25億ユーロ規模の電池供給を受けることを取り決めており、CATLとの取引額は計40億ユーロに達する。

CATLのエアフルト工場からは自動車大手のダイムラーも電池の供給を受けるとの観測が浮上している。ダイムラー社内の情報として4日付『ハンデルスブラット(HB)』紙が報じたもので、同社の社員は「わが社は中国人(CATL)と協議している」と語った。ダイムラーは報道内容へのコメントを控えている。調査・コンサルティング大手IHSグローバルの電池市場専門家は、エアフルト工場の生産能力を踏まえると、採算を取るためにはBMW以外の顧客メーカーが必要になるとの見方を示した。

ダイムラーは超小型車「スマート」のEVモデル向け電池セルを韓国のLG化学から調達している。来年から生産開始予定の電動車専門ブランド「EQ」では韓国SKイノベーションのセルを採用する。調達先が増えれば増えるほど競争原理で調達価格が低下することから、調達先にCATLを加えることはコスト戦略にかなっている。

欧州でセルを大量生産する企業は現在、LG化学とサムスンSDIの韓国2社にとどまる。スウェーデンの新興企業ノースボルトは20年に年産能力8GWhの工場を立ち上げ、23年には同32GWhに拡大する計画だ。

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