EU司法裁判所は7日、インターネット上で公開されている著作権保護されたコンテンツをウェブサイトに掲載する場合、新たに権利者の許諾を得なければならないとの判断を示した。ネット上の著作物を無断で別のサイトに転載する行為は違法アップロードにあたるとの解釈を示したもので、今後、EU域内で著作権者が訴えを起こすケースが急増する可能性もある。
今回の訴訟は、ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州の学校に通う生徒が、ある旅行サイトからダウンロードしたコルドバ(スペイン)の写真を使ってレポートを作成したのが発端。レポートはその後、学校のウェブサイトに掲載された。写真家のディルク・レンコフ氏は旅行サイトの運営者に自身が撮影した写真の使用を許諾しており、問題の写真は誰でも自由に閲覧できる状態だったが、同氏は学校側がレポートと一緒に無断で写真を転載したのは著作権侵害にあたると主張。州を相手取って400ユーロの損害賠償を求める裁判を起こし、ドイツの裁判所がEU司法裁に判断を求めていた。
司法裁は今回の事案について、著作権保護されたコンテンツをウェブサイトに掲載する行為は、ユーザーを別のサイトに誘導する「ハイパーリンク」とは本質的に異なると指摘。著作者の許諾を得て別のサイトで公開されている写真を転載する場合、新たに権利者の許諾が必要で、第三者による無断転載は違法アップロードであり、著作権侵害にあたると結論づけた。
ドイツの連邦裁判所は司法裁の判断を踏まえ、改めて審理を行うことになる。フランクフルトに拠点を置く大手法律事務所ホーガン・ロベルズのパートナー、ニルス・ラウアー氏は「欧州委員会や欧州議会はより厳格に著作権を尊重すべきだとの立場で、今回の判断にもそうした意図が反映している」と指摘した。