資金洗浄(マネーロンダリング)に関わった疑いがもたれているデンマーク金融最大手のダンスケ銀行が米調査会社プロモントリー・フィナンシャルに委託した調査によると、同行エストニア支店がロシアなど旧ソ連諸国の顧客と単年で最大300億米ドルもの取引を行っていたことが分かった。これを受けて、今後は誰が、どの時点で資金の流れを知っていたかが焦点となりそうだ。
ダンスケ銀行エストニア支店は2007年から15年までの足掛け9年間、エストニアに住所を持たない旧ソ連諸国の非居住者にサービスを提供し、資金洗浄にかかわったとされる。英『フィナンシャル・タイムズ』紙が独自入手した調査報告の草稿によると、これら非居住者口座を通じた取引は13年に最大となり、件数で8万件、金額で300億ドル近くに上った。14年にエストニア金融サービス当局が捜査に入ったのを機に、急速に取引が減少した。
調査を良く知る人物は「支店の規模に見合わない取引額で、誰も疑問を感じなかったとは考えづらい」とし、今後はいつ誰がどの程度知っていたのかを解明する段階になるとの見方を示した。
アンデルセン監査役会長は「事実に基づき、全体像を把握したうえで結論を出す」と話し、現時点で判断するのは時期尚早という姿勢を示した。ただ、今回の問題が「当初、考えていたよりも大きく、取引の規模も以前の推測(39億ドル)よりも多くなりそうだ」と付け加えた。
ダンスケ銀のボルゲン頭取は5年前の就任以前の09~12年に、国際取引事業の取締役を務め、エストニア支店も管轄していた。この点から、同頭取がエストニア支店を経由して巨額の資金が流れていた事実を知っていたか、知っていたとすれば、事実解明に向けどれだけの調査を実施したかも問題となりそうだ。
プロモントリー・ファイナンシャルは調査の最終報告を今月中にまとめる予定だ。
