炭素繊維に代わる軽量素材開発へ、アムシルクがエアバスと協業

人工クモ糸繊維の開発を手がける独バイオ企業アムシルクは12日、航空宇宙大手のエアバスと開発協業合意したと発表した。人工クモ糸繊維を用いた複合材料を共同開発する。実用化に成功すれば、炭素繊維複合材料に代わる航空機向けの軽量素材となる可能性もある。

エアバスから資金を得て、開発を行う。取引金額は明らかにしていない。協業期間は差し当たり2019年末までで、同年中にプロトタイプを公開する計画だ。

同社の技術はバイロイト大学バイオ材料講座のトーマス・シャイベル教授が開発した。同教授はクモの糸の元となるタンパク質の設計図(遺伝子)を解析したうえで、大腸菌に同遺伝子を組み込むことでタンパク質を作り出すことに成功した。大腸菌は白い粉(タンパク質)を生成。これをジェル化したものは化粧品の原料として量産技術を確立し、すでに「トゥルーシルク」ブランドで販売している。

大腸菌の白い粉を繊維化した製品(人工クモ糸繊維)も開発しており、「バイオスチール」というブランド名を付けた。同繊維は極めて軽量であるとともに引裂強度が強い。

アムシルクの顧客はこれまで、化粧品メーカーやインプラントメーカー、衣料品・スポーツ用品メーカーに限られていた。航空機向け部材の開発に成功すれば、巨大な市場にアクセスできることから、事業の大幅な拡大につながる可能性もある。

同社は従業員40人弱の企業。売上高は来年、初めて100万ユーロのケタ台に達する見通しという。製造は外部企業に委託している。

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