自動車大手の独ダイムラー(シュツットガルト)は24日、ライドヘイリング(配車サービス)の合弁会社を筆頭株主の浙江吉利控股集団と共同設立することで基本合意したと発表した。吉利の強い要請を受けて、両社は協業の可能性を模索。高級配車サービスを中国で共同展開することを取り決めた。当局の承認を経て来年から事業を開始する計画だ。
折半出資の合弁を吉利の本社所在地、杭州に設立する。ライドヘイリングにはもっぱら高級車を利用する計画で、まずはメルセデスベンツの「Sクラス」「Eクラス」「Vクラス」および「マイバッハ」を投入する。将来的に吉利の高級車を加えることも視野に入れている。
吉利はライドヘイリング事業を曹操專車(CaoCao)ブランドですでに展開しており、登録利用者数は中国全体で1,700万人を超える。ダイムラーとの合弁はこれを補う格好となる。
ダイムラーは吉利との協業を通して移動サービス事業の展開地域を増やし、グローバル化を促進する。
吉利の李書福会長は2月、ダイムラー株9.69%を取得し筆頭株主となった。ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長はこれについて3月、吉利との協業はすでに戦略提携を結んでいる北京汽車(BAIC)の同意が前提になると発言。3社の利害が一致しなければ吉利との協業はあり得ないとして、吉利との協業に消極的な姿勢を示した。
だが、李会長はこれであきらめることはなく、4月には『フランクフルター・アルゲマイネ』紙への寄稿文で、車両の電動・IoT化に向けて急速に変化する自動車業界で生き残るためには提携・協業が不可欠だと強調。ダイムラーの経営陣に協業の提案を行っていく意向を示唆していた。