蓄電池システムの実証、NEDOなどが独で開始

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日立化成、日立パワーソリューションズ、日本ガイシは10月31日、ドイツ北部のニーダーザクセン州ファーレル市で大規模ハイブリッド蓄電池システムを完成させたと発表した。11月1日から2020年2月まで実証運転を実施する。

ドイツは2050年までに国内電力需要の80%以上を再生可能エネルギーに代替する「エネルギー転換政策」を11年の福島原発事故後に打ち出し、風力発電や太陽光発電の導入を積極的に進めている。これに伴い、これまで一定の周波数を維持する役割などを担ってきた火力発電などが使われなくなり、電力系統が不安定化しやすくなっていることから、火力発電の役割を代替する技術ニーズが急速に高まっている。

NEDOなどはこの課題を踏まえて実証運転を行う。高出力の充電・放電が可能な日立化成のリチウムイオン電池、大容量で長時間の充電・放電が可能な日本ガイシのナトリウム硫黄電池「NAS(R)電池」、および電力の需給バランス情報を解析して蓄電池の充電・放電を制御する日立パワーソリューションズの系統情報制御システムを用いて構築した大規模ハイブリッド蓄電池システムが、電力安定化に有効であることを検証する。同システムを用いた新しい電力取引の事業モデルも検証する。

NEDOは昨年3月、同システムの実証事業を実施することで、ニーダーザクセン州経済・労働・交通省などと基本合意した。実証事業には同州内のエネルギー事業者であるEWEも参加する。ニーダーザクセン州は風力発電量がドイツで最も多いことから、NEDOは実証事業の地域に選定した。

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