自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループ(ヴォルフスブルク)は16日の監査役会で、電動車、自動運転、情報通信技術を活用したモビリティサービス、車両と工場のデジタル化に2019~23年の5年間で総額440億ユーロ(約5.6兆円)を投資することを決定した。今後の競争力を決定的に左右するこれらの分野で技術革新のスピードアップを図るために、同社の支出の約3分の1を振り向ける。
巨額投資資金のねん出に向けては、グループ全体の収益力を強化するともに、米競合フォードと戦略協業を活用する。
両社は6月、戦略協業することで基本合意した。現在は小型商用車の開発・生産で協力することを協議している。VWは他の分野にも協業を広げていく考えだ。
監査役会では中国事業をヘルベルト・ディース社長の直轄下に置くことも決定した。同国の重要性がこれまで以上に高まっていることに対応する考え。
中国の自動車市場は世界で最も大きく、VWにとっても最大の販売国となっている。また、同国は電動車、コネクテッドカー、自動運転車、シェアモビリティの分野で世界をリードする様相を呈しており、現地動向の速やかな把握と対応は今後の事業で大きな意味を持つ。
ディース社長自身は中国で生活できないことから、現地業務を統括する最高経営責任者(CEO)にシュテファン・ヴェレンシュタイン中国副社長(中国乗用車事業CEO)を任命する。中国事業担当のヨッヘン・ハイツマン取締役は退任となる。来年1月半ばに人事異動を行う。