チェコ企業が中国から撤退する動きを見せている。国営『ラジオプラハ』によると、複数のチェコ企業が中国国内の人件費やエネルギーコストの上昇を理由に同国から撤退したり、撤退を計画している模様だ。多くの企業がチェコ国内への工場移転を検討する一方で、国内の人手不足などを背景に第3国への工場移転を検討しているところも出ている。
ボヘミア地方のディビソフに拠点を置く玩具メーカーのアブレックス(Abrex)は年間20万個の自動車モデルを生産している。以前は部品の多くを中国で生産していたが、進出した当初はほぼ無料だった電力料金が値上がりしたほか、従業員は賃金次第で他社に移ってしまうため人手不足が著しいという。中国の人件費は過去10年間で3倍以上に上昇している。
一方、園芸用品メーカーのバリ(Vari)は3年前に中国からチェコ国内への工場移転を開始したものの、チェコ国内での求人活動の難しさから現在では移転を中止している。
国内での人手不足を背景にチェコ以外の国に目を向ける企業も現れている。同国の中小企業連合によると、2000年前後に中国に進出した企業は同国よりもコストの低いインドなど第3国に進出先を求めるところも多いという。インドでは各州政府が土地の購入や税金などに関する優遇措置を提示しておりチェコ企業の関心を集めている。